雨中の篝火に、恋の炎を重ねた紫式部を想いながら…源氏物語で語られる光源氏のヤバい恋 ~うたた寝の似合う森NAPi[4]~

eco2house

2020年12月09日 22:01

★この記事は2020年10月8日~10日のキャンプレポ+α です。



NAPiで2回目のキャンプで
2回目の雨。


ウチのキャンプギアチームに
迎えたルーキーメンバーでは、
ベストアイテム2020であることに
間違いない、
トリパスプロダクツの焚火台、
グルグルファイヤー
…で篝火(かがりび)を焚いて、
炎と戯れよう。


源氏物語
 第二十七帖 篝火
…で語られている、
光源氏の、
養女・玉鬘 (たまかずら) への
道ならぬ恋の燃え上がる炎に
NAPiの森で、
朱く激しく燃え上がる、
篝火の炎を
オーバーラップさせがら…


美しい娘に育った玉鬘は
光源氏が
若き日に亡くした恋人・夕顔の
忘れ形見であった。


そんな源氏物語の世界に、
NAPiの森から
俺の心だけがワープした。


そして、
なぜかわからないけど、
古き良き、
ドイツ貴族御用達の、
ヨハン・セパスチャン・バッハの
Easter Oratorio
…が、心の中で鳴っている…


そんなことを想いながらの
グルグルファイヤーでの篝火と
お手軽・和牛ハンバーガーランチを
主な話題にした、
レインキャンプレポである。



★Attention!!

 トリパスプロダクツの焚火台
 グルグルファイヤーについても、
 下記関連記事を補足する形
 で書いています。

 なお、焚火、特に篝火使用につきましては、
 火の粉が飛びやすい構造のため、
 隣接する周りのサイトにご留意ください。


★関連記事

2020/11/21


************


昨日、1日目の焚火は
野良ストーブと
フィネックススキレットで、
栗を炒った。



★関連記事
2020/11/23


安定な炎を
得るために使った豆炭は
豆炭のかたちをして
残っていたが、
完全燃焼していて、
つつくと簡単に崩れて
サラサラの灰になった。


薪ストーブの
燃焼室断熱用に
もってこいである。

 



今夜は、もう一つの、
方向性が全く異なる焚火台、
グルグルファイヤーに
オンステージしてもらおう。


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紫式部が語った
源氏物語第二十七帖、
別名・玉鬘十帖の第六帖。

この中に、
三十六歳の光源氏と
二十二歳の玉鬘が
交わした恋の歌がある。

篝火に たちそふ恋の 煙こそ
 世には絶えせぬ
  ほのほなりけれ

「この篝火とともに
 立ちのぼる恋の煙こそは、
 いくつになっても
 燃え尽きることのない
 私の恋の炎なのです」


もうちょっと意訳すると、
こんな感じ…

篝火と同じみたいな俺の恋の炎は
 永遠に消えない心の炎なんだよ。
 いつまでこうしているんだか。
 想いはくすぶってるのに…」


うーん、ある意味ストレートな
お父さん(養父・光源氏)の
娘(養女・玉鬘)
…への口説き文句だ…


若く美しい女性に育った、
玉鬘の返歌。


行く方なき 空に消ちてよ 篝火
 たよりにたぐふ 煙とならば

「そんな煙のような恋ならば、
 空にあとかたもなく
  消し去ってくださいませ」


もっと意訳…

「それなら空に
 消してしまってくださいな。
 篝火の煙と同じものなんでしょう?」


さらりとかわす、
見事な返歌!!

奈良大学博物館HPより


それにしても、
光源氏が若くして
死に別れた元恋人、
夕顔の忘れ形見の玉鬘…、


養女に迎えた
玉鬘との「恋」は、
かなりヤバい関係だ…


琴を枕にして、
抱き寄せちゃうなんて…



光源氏は、
とうに死に別れた
恋人・夕顔の面影を
若い玉鬘の中に
追っているのかもしれない。


美人で誉れ高い、
紫の上…という
愛する人がいる身
…ではあるのだが。


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苦手な古典、源氏物語も、
ゴシップ記事満載の週刊誌
連載小説だと思えば
読むのも苦痛ではなかった。


理系志望でも、
「古典はもう増えないぞ」
…という先生の言葉に
納得して、
とにかく猛勉強した、
受験生だったあの頃。


グルグルファイヤーの焚火を
ダイナマイトマウンテンという
ランタンスタンドに架けて
篝火とする。


この篝火を焚くのは
初めてではない。


だが、このときは
なぜか初めて、
源氏物語の「篝火」に
こころが
飛んだのである。


紅葉前の緑の森で
緑の補色(≒反対色)である
朱色に燃え上がる炎に
見入っていると、
紫式部の世界が思い浮かんだ。


(思い浮かべても、何が
 どーなるもんでもないんだけど…)


…こんなとき、
あの頃の受験勉強が
無駄ではなかったと思える


NAPiの森の夜、
炎がいざなってくれる
紫式部の想いを
楽しむことができる…のだから。



あ、…夜じゃなくて、
今はまだ、昼…だった。


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時系列をさかのぼる。


トリパスブロダクツの焚火台
グルグルファイヤーを
荷ほどきする。


前回の使用後に、
オリーブオイルで
汚れを拭き取り、
磨いてあるから、
黒皮鉄板の渋い光沢が
ステキだ。

 


小雨が降り出したので、
幕下で組み立てよう。

 



タープポールの位置から
わかる通り、
ここはタープ下。



かなり雨が降ってきたので、
難燃シートの下で
着火までを行おう。



★Attention!

 このブログサイトの常連さんは
 ご存知だと思いますが、
 タープ下での焚火は、
 難燃シートがあったとしても、
 濡れていない状態
 ポリエステル or ナイロン素材の
 タープの下で行うのは無謀です。
 
 タープ自体に
 たとえ難燃性コーティングが
 なされてあっても、
 穴が開くリスクは高い
 でしょう。

 タープ下での焚火は、
 どんな幕であっても、
 タープが濡れていることが
 前提と考えるべきです。

 また、燃えにくいとされている、
 ポリコットン幕や
 コットン幕であっても、
 撥水加工をしてあると
 水が浸み込まないので、
 穴が開きやすくなります。
 
 ただし、あくまで理論上は
 …ということで、
 エビデンスを得るための
 検証実験をしたわけ
 ではありません。

 あくまで個人的な
 参考意見だと
 思ってください。


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一番上のリングに
「角」を差し込んで、
下のクビレに差し込んだ蝶ネジを
しっかり締める。


ここが間違えやすいかも。




そして、「角」の上部を合わせる。


 


しっかり組みあがるので、
ここを持って、
着火後でも、
移動することが可能だ。


曇り予報なのだが…
小雨が降り続いている。



雨に煙るNAPiの森は、
静まり返っている。


次のランタンフックは
篝火に使うものではないけど
降り続く雨で、
ビショヌレである。


これも、二十数年前からの相棒だ。




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グルグルファイヤーS用の
薪を準備する。


NAPiの薪は
よく乾燥していて、
とても燃えやすい、
良質の薪だ。


さすが、
オーナー夫妻の
手間と時間が
たっぷり注ぎこまれている
だけのことはある。


しかし、薪ストーブには
うってつけなのだが、
グルグルファイヤーSには、
…長い。長すぎる…

 



焚き付けをつくるのは、
NAPiには
キンドリングクラッカーも
設置してくれているので、
これを使えばラクチンだけど、
でも、横に割ることは
もちろんできない。


バタフライソーや
剪定用のこぎりは
持ってきてるけど、
結構な労力と
時間が必要になる。


そこで、
自宅から持ってきた
短めの薪を、
敢えてキンクラは使わずに、
チョッピングアックス、
フィスカースX7を使って割った。



こいつの良いところは、
収納したときの
この安心感!



あ、この写真では、
まだロックがまだ
完全には閉まっていない…


小学生の時、帰宅途中に
彫刻刀を入れた
手提げ袋を振り回して、
右ひざの裏にあてた。


その時、
中の彫刻刀が飛び出して
半ズボンの右足に
グサッ…


右足の膝下が血まみれに…


ポタポタと滴る血潮で
白い靴下が赤く染まる右脚を
右手で傷を抑え、
引きずりながら、
必死の思いで帰った記憶が
まだ残る傷跡と共に、
いまだに脳裏から消えない。


路行く周りの大人たちは
好奇心に満ちた
視線を注いでいたが、
何かしてくれたという
わけではなかった。


************


薪に着火して、
ランタンスタンドに吊るす。




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実はグルグルフアイヤーには
3つのサイズがあって、
これはS。


Mならば、もう少し
長い薪にも対応するのだが、
何せ大きくて重い。


7.2kgという重量だけで、
ビビった。


この重量だと、
ランタンスタンドに吊って
篝火にするのも、
危険を感じる。


いや、サイズ的にも
ランタンスタンドに吊って
篝火にするのは
難しいだろう。


ちなみに
Sの重量は3.4kgだから、
Mの半分以下である。


それにしても、
この大きいのが
Mということは、
もっとデカい、Lを、
販売するつもりが、
あるんだろうか…


トリパスプロダクツHPより


************


雨の中で燃える篝火…


源氏物語第二十七帖 篝火 の中で、
親子とも恋人ともいえぬ
父娘以上恋人未満の関係を続ける
光源氏36歳と娘の玉鬘22歳…
 


女流作家・紫式部は
一女をもうけて結婚し、
3年後に、夫と死別した。


その夫とのことを
忘れようとして、
物語を書き始めた
…というのが通説である。


本当にそうだろうか。


忘れる…という
後ろ向きの姿勢ではなく、
新たな恋に向けた
前向きのアクション
…だったのではないだろうか。


そして、その読者の、
平安の世、そして
後の世の女性たち…


自由闊達に生きる
「平安貴族」への憧れが、
その誤の封建時代の世に、
この物語を伝えてきた
…のではないだろうか…


燃え上がる、
朱色の篝火を見ていると、
そうとも、思えてくるのである。


************


雨が降り続いている。



篝火の炎に
断続的に白い煙が
混ざってくる。



玉鬘に対する
光源氏の道ならぬ恋心を
諫めようとする周りの
ギャラリーの声…



それが降り続ける
雨…なのかもしれない。


************


昼間から、
燃え盛る篝火の炎を
じっくり見つめて
想いに耽るのも、
いいもんである。


でも、もう昼時。


腹が減った。


今回持って来た、
とっておきの和牛の挽肉…


塩と胡椒を振って、
丸めるだけのハンバーグ…


いや、これは
ハンブルグステーキ
…と呼ぶべきだな。


つなぎなし。


カンホアの塩だけで
肉の粘ばりを引き出して
6mm厚の鋳鉄、
すなわち、
The FINEX cast iron skillet 
…で調理する。


★カンホアの塩関連記事

2018/07/14
2019/08/28


手に入りにくい
バンズの代わりに
イングリッシュマフィン。


ゴミになっちゃう
ペーパーバーガーバッグ
(包み紙)の代わりに
一緒に食べちゃう
フレッシュレタスでくるむ。


和風なテリヤキソースの
味が染みた豚バラ肉を
ベーコン代わりに
トッピングして…

 

 

 

 



************


最初に篝火に火を入れてから
約2時間…


雨は降り続いている。


NAPiの森は
木の幹まで濡れてきて、
より落ち着いた雰囲気に
なっていく。

画面左端に、雨の中、
隣のサイトを整備する
オーナーの姿が見える。




持たせてもらったが、
それなりの重さの
エンジン式ブロワーで
落ち葉をフッ飛ばし、
ゴミなどを拾い、
レーキで枯山水のごとく、
サイトを清めていく。


************


篝火はほぼ鎮火したけれど、
光源氏のこころの中の
恋心のように
完全に消えてしまった
…わけではないのだ。



燃え残りを残したまま、
GURU GURU FIREの中に、
FUBOU2Sを立てていく。


雨が降りかかってくる。


グルグルファイヤーの
一番上のリングに
水滴が光る。




薪を入れて、
5分ほど経つと…



また以前のように
炎が燃え上がる。



まるで…
消そうとしても
消すことのできない、
何度でも燃え上がる
恋心のように…


***********


ふと、昼飯で使ったスキレットの
始末をしていないことに気づいた。


スキレットに少量の水を注いで
火にかける。




ひとしきり加熱したら、
その湯を流しに捨てに行く。


ここで洗剤を使って
スキレットを
洗う必要はない。


湯によって、
肉を焼いた油は
鉄の表面から
適当に(イイカゲンではなく)
除かれる。


鉄にとってはむしろ、
水が汚れであり、
酸化反応を仲立ちしてしまう。


だんら仕上げに
もう一度火にかければ、
あとは帰ってからの
お手入れだけ。


そして、
NAPiの浄化槽を守る、
バクテリアにとっては、
少量の油脂よりも、
洗剤の方が数段、
脅威(≒毒)である。


************


約1時間後、14時頃に、
最後の薪が燃え尽きた。



***********


この時、
天気予報を確認すると、
相変わらず中条町は、
終日曇り。


いま、ジャンジャン雨が
降ってるというのに…!!


そして、台風接近中の明日は、
もっと天候が悪化…


ちょっと迷ったが、
台風が来るのだ。


撤退することにした。


二泊のつもり出来ていて、
途中で切り上げるのは
後ろ髪をひかれる思いだが、
完全ビショヌレ撤退だから、
帰ってからの後始末もある。


というわけで、撤退作業…


この後、天候は回復せず、
ルーフテントを干したのは、
次の週末。


…古雑巾のような臭いがした。


その後、徹底的に干して、
ファブリーズ。


************


長くなってしまった。


しかし、久しぶりに
源氏物語を読み直す
良い機会となった。


では今回はこのへんで。


ご訪問、ありがとうございました!


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