キャンプに行って自由研究!…ハッカ油は本当に虫よけに効くのか?… ~虫対策シリーズPart 3.~

eco2house

2018年08月10日 16:40

《はじめに》

ファミリーキャンプに出掛ける皆さん!!

キャンプでやれる自由研究のご提案です。



刺す虫が何に寄ってくるのか、

虫よけ薬に効果があるのか

を調べる「キャンプで自由研究」。



具体的には、

二酸化炭素つまり炭酸ガスを

袋などの容器内で発生させて

吸血性昆虫を誘引することを確かめ、

そこにハッカ油(主成分メンソール)を

入れた場合には誘引されない

またはされにくい現象が

起きるかどうか、試験する…という内容です。



なお、これは自由研究の概要提案であって、

大学などの研究論文などで、

うまくいくだろう…というアタリは

つけてありますが、

細かい条件などは推測です。



ぜひ、独自の工夫で研究を

お子さんとともに、楽しんでください。



とりあえず、必要なものを、

列挙しておきます。



(1) 実験用機(大きめのビンでも)

    ① 大きめのビニール袋(何枚も)
    ② その口を広げる針金
    ③ 針金をビニール袋に止めるセロテープ

(2)虫除け薬(どれか一つでも可)
    
    ① 自作ハッカスプレー
  ② ハッカ油
    ③ トクホンチールなどの
       消炎・鎮痛剤(主成分がL-メントール)
    ④ 虫よけ塗り薬(ディート配合など)

(3) 誘引用の二酸化炭素源(どれか一つでも可)
  
     ① ドライアイス
   ※キャンプ場の近場で冷凍食品を買って、
          ドライアイスをできるだけ多く、
          もらうか、購入しましょう!
  
    ② ドライイースト+砂糖
   ※葡萄・ベリー類など果皮に天然酵母が付着している果実
    
    ③ 各種炭酸飲料
    ④ 炭酸水素ナトリウム
       (重曹またはベーキングパウダーでも可)
       +酢
       ※ビネガー・バルサミコ、レモン果汁などでも可
    トイレ用洗剤サンポールも
         主成分が塩酸なので、よい

(4) 集めた虫に眠ってもらうためのクスリ
   
   ① エタノールスプレー(これだと仮死状態)
   ② スプレー式殺虫剤



それでは、ここから本論。



虫対策シリーズ第三弾、

ハッカ油について、

自由研究で調べてみよう!…というお話です。



********** 



1. ハッカ油が虫を忌避するのか

まず、いろいろ調べてみた、私なりのまとめを。



「ハッカ油(主成分・メントール)には
 持続性がないが、
 ある程度の効果は、ある可能性が高い。」



1-1.忌避効果があるという信頼できるデータ



残念ながら、

信頼できるデータは見つかっていません。



おそらく、製薬会社などでは、

公開するのに足りる
(医薬部外品登録審査に耐える)

データがないのではないかと思います。



もし製薬会社・研究機関・学会・大学などの

リリースしている客観的なデータを含む資料

(論文など)がありましたら、どなたか、教えてください!



ただし、生命科学関連特許情報として、

害虫忌避剤としてのメントール
 プロピレングリコール−カーボネート
 およびその類似物」に関する記述

…を見つけました。



これはメントールの構造を変化させた

化合物に関する特許なのですが、

その記述中に、以下のような記述があります。



「メントールは、(…中略…)複数ある

 殺ダニ剤の成分の1つとして、

 そして(…中略…)ゴキブリ忌避剤の

 必須成分として開示されている。」



これは

「効果があるとして特許を取った人がいる」

…という程度の情報にすぎません。



しかし、何らかの根拠があって、

特許申請をしたのだろうと思います。



そして、製薬会社で、

ハッカ油の成分を

主成分として用いた昆虫忌避剤を

ほとんど製品化していないにもかかわらず、

これだけ「ハッカ油が虫よけに使える」

…という情報が出回っていることは、

科学的なデータ収集は行われていないものの、

効果があるという事実を経験として

持っている方が多数いるということなんだと思います。



経験的な効果の検証…

この点は、いわゆる「都市伝説」的な話とは

明らかに違う点です。



1-2.ハッカ油の主な有効成分



ハッカ(ジャパニーズミント)の

主な有効成分は

L-Mentholメントール
(今後、慣用的に使われている
 「メンソール」と記述)

という物質です。



ペパーミントオイルおよび

その他ミントオイルから得ることができる

天然物とも言えます。



メンソールは、ハッカ以外の

ミント類にも含まれているからです。



そしてハッカ油は

明確に純物質ではなく、混合物です。



次にお示しする成分分析表は、

私が現段階ではもっとも信頼できる、

エッセンシャルオイルの販売サイト

生活の木」からお借りしたものです




ですから、「ハッカ油」の示す
(かもしれない)

忌避作用は、

主要香気成分でもある「メンソールの作用」

と考えて差し支えないでしょう。



…ちなみに、成分分析表の一番上のリモネン、

オレンジシトラスオイルと呼ばれ、

レモンやオレンジなどの皮に含まれている、

香気成分です。



レモンなどを絞るときは、

身を下にするのではなく、

皮を下にすると、香りが立ちます。



オレンジジュースは

皮ごと絞られていますがそれが正解。



レモンハイ(レモンサワー?)で、

レモン生絞り…とかがあるけど、

実だけをゴリゴリと絞る

アレだと、皮の香気成分が

全て無駄になっています。



ところでこのリモネン、

油汚れを溶かして落とす性質

があるため、洗剤としても使われています。



発泡スチロール(ポリスチレン)を

簡単に溶かしてしまうため、

リモネンをタンクに入れて、

そこに発泡スチロールを投入して溶かし、

体積を小さくして回収するというアタマのいい方法です。



電機メーカーのソニーがこの技術を開発しました。

d-リネンを用いた発泡スチロールリサイクル技術



あ、話が横道にそれました…




でもこの点だけ、

つまりレモンの皮で

発泡スチロールを溶かすだけでも、

自由研究ネタになりませんかね…。



小学校の先生とか、

読んでいらっしゃったらコメレスよろしくお願いします!



2. メンソールから吸血昆虫が逃げる(忌避する)か、実験しよう!



さて、メンソールの忌避効果について、

文献がなければ、

実験で確かめてみましょう。



キャンプしながらできる、

自由研究になりますよ!(きっと…???)



2-1.対象となる虫の捕獲



そのためには、対象となる吸血昆虫を、

捕まえなければなりません。



吸血昆虫の多くは、

二酸化炭素を感知して寄ってきます。



ですから、

もし二酸化炭素の固体、

ドライアイス、常圧では昇華性が高くて)液体にならないから、

「乾いた氷」なわけですけど、

これをキャンプフィールドに持ち込めれば最高です。



ドライアイスの板状1kg×3個のセットが、

だいたい2500円~3000円ほどの価格で

通販で購入できます。
(キャンプ場アに届けてくれるかはわかりませんけど…)



ドライアイスがダメな時は、

酵母の発酵の際に糖を

エタノールに変えるとき、

副成する二酸化炭素を利用することができます。



次のお話は、やや横道にそれますが、

蚊などの吸血昆虫のトラップの作成方法です。



ペットボトルを上下半分ほどにカットし、

下の部分に砂糖水、

そして酵母(イースト)を混ぜる。

そしてペットボトルの上の部分を

ひっくり返してテープで止めます。



蚊やヌカカなどは

二酸化炭素に誘引されてペットボトルの中へ入り、

でも出口が見出せずにボトルの中に捕われてしまうわけです。


動画もどうぞ。



なお、ガセとかいうコメントが出ていますが、

おそらく温度が低かったのでしょう。



温度が低いと酵母が活動せず、

したがって二酸化炭素の発生が

不十分か、または全く発生しなくなります。



そうすると二酸化炭素の発生が不十分です。



高原でキャンプ中の方は、

湯煎してしてイーストを元気にしてあげてください。



なお、パンやピザ生地の発酵、

まさにこの反応によって生成する

二酸化炭素によって、膨らみます。



パンの「穴」は、だから二酸化炭素が

あけているんですね。



また、葡萄の皮には天然酵母がついているから、

皮ごと絞った葡萄ジュースを

瓶に詰めておけば、

葡萄のフルクトース(果糖)を

酵母が食って、エタノールと二酸化炭素を生成する。



だから、ワインはみんなホントは発泡酒。



あれぇ…これもまた

自由研究ネタになりますね。

皮ごと絞った葡萄を

瓶に詰めておいたらどうなるか…

ペットボトルの場合は、

フタをコルク栓に代えておきましよう。



ポンポン飛びますから…





ちなみに、蚊のトラップの

Maynilad Water Services, Inc

(マイニラッド社)とは、丸紅が20%出資する

フィリピン国上下水道事業会社のことです。



このトラップをサイトに置いておくだけでも、

虫よけに効果があるかも…



そしてこのトラップについてのまた、、

自由研究ネタになるような気がします。



このトラップは蚊が対象ですが、

アブやブヨ、ヌカカについても、

二酸化炭素トラップは有効です。



ヌカカのトラップについては、

酪農学園大学応用昆虫研究室

佐々木均教授の論文があります。



この中で、ブラックライト(紫外線)

蛍光管とドライアイスを用いたトラップ

についての記述を見つけました。



タイトルは
北海道江別市における吸血性ヌカカ類Culicoides属の採集記録

「ドライアイスから放散されるCO2を併用し,

 BLB20W蛍光管が発する光を誘引源とした

 FHK改良型ライ トトラ ップを24時間設置 してヌカカ成

 虫を採集 した」



アブについては、

北海道大学農学部の牧場研究報告に、

同じく酪農学園大学応用昆虫学研究室の

お二人による報告があります。



タイトルは
「附属牧場の吸血性双翅目類について 3.アブ類の種類とその消長」

「捕獲には炭酸ガス,山羊,鶏を
 誘引源とする蚊帳トラップ法を用いて行った。」



ブラックライトの使用は、

キャンプサイトでは電源の問題がありますが、

二酸化炭素(炭酸ガス)なら簡単です。



ドライアイスが手に入らない、

または持ち込めなくて、

発酵法もできない場合、

炭酸飲料、ビール・コーラなどでも

効果がある可能性があります。



あ、これもまたしても、自由研究ネタ!? 

お父さんのビール、ボクのコーラ、

虫が寄ってきたとはどっち!?…みたいな。
(ただし、二酸化炭素量が少なすぎるような気がします…)


ここに、汗まみれのTシャツ、クサい靴下、

スイカの食べ残した皮、日本酒…とかもいれて、

誘引性についての調査を行うとか…。



あ、また、やや話がズレた…



さて、これらをビニール袋に入れて

口をあけ、一定時間放置。



口を閉じて、エタノールまたは殺虫剤で

中に入ったムシに眠っていただき、

その種類と数を測定。



でもここでもしかすると衝撃の事実が

あることに気付きました。



焚き火や炭火でも、

結構な量の二酸化炭素が
生成している

…ということ…です。



焚き火のそばでビールを飲んでいたら、

そりゃあ、吸血昆虫が

寄ってくるのは当然!!??



サイトの、ちょっと離れたところで

練炭や豆炭などのリーズナブル(安価)な

炭素を燃やして二酸化炭素発生源とすると、

吸血昆虫はそっちに引き付けられる???



それも面白い研究テーマかもしれません。



2-2. メントールに忌避作用があるか



そこで、ビニール袋にドライアイスやビールなどの

二酸化炭素源を入れたものに

メントールをスプレーしたものを並べて比較します。



メントールの量を三種類か分けると

よりよいデータになるでしょう。



人間がいれば必ず二酸化炭素も

存在するわけで、

二酸化炭素とハッカ油

すなわちメンソールが共存した空間に

吸血昆虫が入ってこなければ、

「忌避効果があった」という事実の

蓋然性を示すことになると思います。



なお、ここに、

例えばディート配合の昆虫忌避剤を

メントールと同様に存在させてみれば、

その有効性が確認できるのではないかとも…。



3. おわりに



メントールの昆虫に対する忌避作用の有無、

資料を探していくと、

効果はあるかもしれないが

証明できているとは必ずしも言えないようです。



だとすると、いいんじゃないでしょうか!?

自由研究の題材としては…


私には残念ながらキャンプ場で

実験をする時間的な余裕がないので、

自分自身で研究・試験をやれませんが、

お子さんが小学生や中学生でしたら、

ちょこっと実験してみてください。



イエバエやアカイエカのように、

研究用個体が養殖・販売されていない

ブヨ、アブやヌカカは、

キャンプ場という

「現地で採集して実験・研究するには、

その方法が、明確に有意義であるからです。



***********************



さて、キャンプにいけない休日、

お盆休みです。
(15日までですが)



私の曾祖父が今の地に根を下ろしたのが

どうやら慶応年間。



私で四代目ですが、農家でも何でもなく、

給料をもらって生活しています。
(妻はパート)



そういうわけで、いまだにお盆に家を

空けにくい状況です。



*********



ご訪問ありがとうございました!!

またのお越しをお待ちしています!


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