霧雨に煙る暗い森を照らす、オイルランタンの灯 ~まどろみが似合う雨のキャンピングベースにて[1]~
早朝、まどろみの森の中に、
夜通し穏やかなひかりを
放ち続けたオイルランタンが見える。
朝を迎えて、森の中が
ほのかに明るくなってきても、
まだ点々と、
その存在を示している。
これは、俺のサイトの
ランタンではない。
ランクル70と共に
一夜を過ごしたのは、
中央右寄りの森の中、
画面右側、真ん中あたりの、
あかりの奥である。
前夜、暗くなる前に、
オーナーが、
フィールドの要所に、
足元を照らす照明として
オイルランタンを
設置してくれているのだ。
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前夜、暗い森の中…
こんなランタンが
森の中に点々と灯る。
無作法な行為とは承知で、
ストロボを焚かせてもらう。
FEUERHANDの
ベイビースペシャル 276
…だろうか。
サイトに近いところには
別のランタンが…
写真の中心が外れている。
ランタンの左後ろには、
実は、暗くて見えないけど、
森の樹の幹が写っているのだ。
ちょっと修正してみた。
ボーッと、ランタンの後ろに
樹の幹が見えた。
頻繁にストロボを焚くと、
キャンパーだけでなく、
この森に棲むものたちを
驚かせる。
朝になってからもう一度、
ランタンを見てみることにした。
銅と亜鉛の合金、Brassが渋く輝く、
ステキなコだった。
細かい細工が
ハンパない美しさだ。
ただ、ちょっと調べてみたけど
どこの誰なのか、
素性がわからない…
ただ、どこぞの名門旧家の
ご令嬢とお見受けした。
ランタン沼の住人さん!!
誰か、このコの素性、
教えてくださいませんか??
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このサイトは、
後ろに「裏山」がある。
ゴルゴ13ではないが、
背後が守られていると
なんだか安心だ。
…しかし、ここの場合、
こんなものが山の斜面に
敷き詰められているのが
ちょっと気になる。
そして、
そのほとんどの栗のイガに
中身がない。
また、サイトにも点々と
中身のない
栗のイガが存在するのだ。
たぶん、森の住人のどなたかが、
「収穫」なさっているのかな。
そして時々、斜面を、栗のイガが、
転がり落ちてくる…
もうすでに、イガは一つも
栗の樹の枝には、
ついていないのにも関わらず…
夜、もう寝ようと
ルーフテントのラダーに
足をかけた時にも、
裏山の奥から、
イガが、ころがり落ちてきた。
ラダーに足をかけたまま、
しばらくフリーズして、
気配をうかがってみても
イガを転がしているヌシの姿を
直接、感じることはできなかった。
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時折、細かな雨が、
木の葉の表面でひとつになり、
大粒の雨粒になって落ちてくる、
そんな雨が降る夜が明けた。
雨はほぼ止んだので、
土が滑る、裏山に登って、
サイトを見下ろしてみた。
まだ朝の早い時間、
微睡(まどろみ)の森は、静かだ。
朝、6時過ぎ、
まだオイルランタンは
静かに輝いている。
リアタープとして張ってあるのは、
ニュージーランドのタープ、
Zempire Shade Awning Tarp
(ゼンパイア シェードオーニングタープ)
このタープ下で、
焚火をすることを考えたのである。
だから、設営がちょっと特殊。
このことについては、
また別記事で…
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徐々にサイトが明るくなる。
料理に使おうと思って
自宅ハーブガーデンから摘んできた
フレッシュハーブのブーケがきれいだ。
ブーケにして
日が当たらないように
気をつければ、
2日ほどは持つことが
わかったのである。
でも、雨の設営で時間を要し、
昨夜のディナーのメインは
ハーブのいらない、
具沢山で、うま味たっぷりの
トマトコーンスープだった。
この件は別記事で…
明るくなってから、
もう一度、撮り直してみた。
ピンク色のレッドセージが映える。
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ところで俺は今回、
実はもう一泊する予定だった。
天気予報では今日、
金曜日は曇りだが、
明日の土曜は
台風の影響でかなりの雨予報。
(結局、雨が降り出して、この日の夕方に撤収)
そんな中、
撤収したサイトを「整備」する、
オーナー夫妻の姿があった。
ブロワーで落ち葉をブッ飛ばし、
レーキで小砂利を整える。
過去記事で、俺は
「枯山水のよう」
…と表現した。
でも、オーナーご本人は、
「甲子園の…」
…と、自らを野球場の、
グラウンドキーパーに例えられた。
★関連過去記事
奥様は丁寧にゴミを拾っている。
長い時間、下を向き、
サイト自身と向き合われていた。
ここは、
美しい天然林を創る広葉樹たちの、
atmosphere(アトモスフィア≒雰囲気)が
とても居心地のよい、
キャンプフィールドである。
でも、それは決して、
天然林をそのまま
ほったらかしにして、
できるものではない。
途方もなく手間のかかることを
「こうあるべき」と信ずる方法で、
創り上げている、
オーナー夫妻の「作品」なのだと思う。
そう。
この森には通路の舗装もなく、
明るいLED照明もない。
だから、手の入っていない森だと
思ってしまいがちだけど、
実は、「究極の人工林」
…ではないかと思っている。
この幻想的な
オイルランタンのひかりだって、
電線を配線して…、
イヤ、バッテリーのでも、
LEDライトにすれば、
もっと明るくて経済的だし、
手間も、全くかからない。
でもそれじゃ、ダメなんだ!
…という、オーナー夫妻の声が
聞こえてくる気がする。
LEDの灯は明るすぎて、
暖色の光であっても無機質で、
俺は苦手である。
ルーフテントへ持ち込む、
EX-V777D、
1台だけは持っているけれど…
そんな、ある意味、
「変わり者」である自覚を持った、
俺みたいな「にんげん」には、
ここのatmosphereには、
DNAの二重螺旋に共鳴するような
親近感を感じるんだ。
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ところで、
俺たち夫婦は、
大学生時代に知り合った。
それからもう、早いもので、
三十数年の月日が流れている。
お互い、自分の仕事に
誇りを持って取り組み、
尊敬しあっているけれど、
専門分野(field≒領域)は、
全く異なる。
そんな俺が、
オーナー夫妻の仕事ぶりを、
ふと垣間見た時、
とても羨ましく感じた。
文字通り、同じフィールドで、
日々、お互いを必要としあって
信念のある仕事、
「静かで美しい微睡の森」という作品を
創り続けているのだ。
俺も、妻への
感謝を忘れずに
これからの「時」を
生きていこうと思った。
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では今回はこのへんで。
ご訪問ありがとうございました!
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