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2017年11月27日

薪ストーブの火の粉でテントやタープに穴が開く危険性 ~エアフレームテントに薪ストーブをインストールして~

煙突トップから流れ出る煙 内山牧場

上の写真は、快晴の内山牧場

(青空だと煙が見えやすい)

…で撮影したものですが、

今回のエアフレームテント入魂式(初張り)と

薪ストーブをインストールは、





「入魂式&インストールキャンプ」の

第2日目夜のご報告を予告しておりましたが、

その前に、

薪ストーブをテント内で使うリスクの一つ、

煙突から出る火の粉で、

テントやタープに穴が開く心配がないのか…。




前記事へのコメントでお尋ねをいただきました。

引用させていただきます。


「エアフレームテントで薪ストーブ
良く聞く「火の粉で穴が!」って言うのは
大丈夫なんですか?
写真見てると心配になりますが(^_^;)」





これは、誰もが思うことだと思います。

そこで、私が考えたことをまとめてみましたので

ご覧ください。



もし、間違いなどがありましたら、

ご指摘いただけると助かります。



では始めます。




まず、煙突トップ(先端)の問題です。



私たちの薪ストーブは、新保製作所の




煙突は、Pトップです。



この時の天候が曇りで、煙がよく見えませんが、

手前からテントの屋根の方向に

煙が流れています。

煙突トップから流れ出る煙

次の写真は冒頭のものと同じく、

青空の内山牧場でのものです。
 
煙突から流れ出る煙 内山牧場 

煙突の先にPトップを付け、

さらに焚き火タープより上に出しています。

この、煙突トップの形状は、次のようなもので、

新保製作所の製品です。

火花を出しにくい煙突のPトップ



一方、煙突の形状の代表的なものには、

Tトップ、またはT笠と呼ばれるものもあります。

煙突トップT笠

実は、この二つには、

その機能の上で、大きな差があるのです。



Pトップは中に皿状の金属板があり、

煙はその脇をすり抜けて、

流れ出ていくようになっています。




さらに、Pトップには一番外側に、

細かい網目の金網があるため、

大きな火の粉は砕かれた後、

煙突内に落ちて燃焼し、

煙とともに放出されることは、

ほぼなくなります。



それに対して、T笠には、

そのような火の粉を

出しにくくする機能がない上に、

大きくてかさばるため、

ストーブ本体の中に

収納するのが困難です。



(新保製作所の角型FIRE SIDEには

 全てではないけれど、

 煙突やトップなどの一部が収納できます。)



ですから、Pトップのような形状で、

最低限、火の粉を飛ばさないための

金網などがついている

煙突トップを使用するのであれば、

火の粉が周りに飛んで、

テントやタープに穴が開くリスクは、

かなり低いのではないかと思います。




さて、タープやテントに火の粉で

穴が開くということの、

もうひとつのポイントは、

テントやタープが何でできているか、

つまり、「生地の材質」の問題です。



もちろん火の粉は燃焼中の炭素のかけら

と思われますので、

その温度は300℃以上でしょう。



その温度に、完全に耐えうる

テント・タープ用繊維は、現在、

ほぼ、ないと言えると思います。



たとえばコットンやTC素材でも、

「難燃性」なのであって、

「不燃性」や「耐火性」ではないからです。



ましてや、「難燃性ポリエステル」の意味とは…。



…実は、この点がとても大切な点です。



しかし、この辺のお話は、

どうやらかなりメンドくさい。



イヤになってしまうかもしれませんが、

もう少しの間、お付き合いください。



例えば、サランラップという

「プラスチックの薄膜」、

ポリ塩化ビニリデンという樹脂なのですが、

難燃性あり…だそうです。



でも、試しに火をつけてみてください。



簡単に溶けて穴が開きます。



なぜなら、


…ためです。



サランラップのハコにもかいてありますヨ!!



溶けて穴が開くけど、でも、

燃え上がることは、ほぼ、ない。




カチカチのプラスチックである

ポリ塩化ビニリデンを軟らかくする、

「可塑剤」が燃えることはあるけれど…。




構造のよく似た、ポリ塩化ビニルには

もし、燃え上がっても、

そのうち勝手に消える、

「自己消火性」もある。



つまり火がついても、

燃え広がらずに消える。



でも、穴が開くことに変わりはありません。

耐熱温度が低いのだから、アタリマエです。



たぶん、このサランラップの場合と同じことが、

テント素材についても

いえるのではないかと思います。



ですから、さすがにテントを買って

自前で実験することはできないけど、

「難燃性だからといって、

 必ずしも火に強いということではない!!」…。



この辺のことに詳しい方

(プラスチック・繊維系の専門家?)

…で、ご覧になっておられる方がいましたら、

ぜひご指摘・ご教授お願いします!!



ですから私は今、手に入る、

どのような素材であっても、

「火の粉で穴が開く」というリスクから

完全に逃れることはできないのだ

…と理解しています。



一般的には、

ポリエステルやナイロンなどの

いわゆる化学系繊維・合成繊維だと、

気密性・耐水性が高い代わりに、

コットンやTC素材に比べて、

熱には弱いという欠点があるとみていいでしょう。




ところで、二十数年前の、

今は皆、社会人となっている

三人息子が小学生だった時、

ファミリーキャンプをよくやっていました。



その頃は、ファミリーキャンプで

焚き火や薪ストーブで調理をしたり、

暖を取るという発想はなくて、

せいぜい、バーベキューグリルを持ち込んで、

炭火で焼肉…というくらいでした。

あの頃のことキャンプサイト

料理には、

コールマンのアンレデットツーバーナーが

大活躍していたのです。

ツーバーナーを使って

火の粉が飛ぶ余地は、ほとんどなし。

なので、テントはモンベルのムーンライトⅤ、

タープはコールマンスクエアタープ。



いずれも、まだ販売中なのがスゴい!!




でも火には弱い合成繊維です。


(ムーンライトには難燃加工済と表示あり)。




いま販売している合成繊維系の幕には、

ムーンライトに限らず、

難燃加工をしたナイロンやポリエステルが

使われていることも多いようです。




コットンやTC

(テクニカルコットン≒ポリコットン)、

難燃性ポリエステルやナイロンの

火に対する「耐久性(!?)」を比べたデータは

見つかりません。



どなたか、客観的データ(エビデンス??)

…をお持ちでしたら、ぜひ、教えてください!!



自分で実験するわけにもいきません。



ですから、確たることは言えないのが

現状ではあるんだけど。



…話を戻します。



それで、孫が生まれて、「あの頃」が

フラッシュバックした結果、

妻と二人ボッチキャンプ、カッコよく言うと、

「デュオキャンプ」を始めたわけですが、

モンベルのナイロンシェルマウンテンパーカー

…キャンプ初体験の焚き火で、穴をあけました!!




そこで、被害が拡大する前に、

まずコールマン・スクエアアタープを、

火に強い…というコンセプトの、

焚き火タープTCレクタに変更したのです。




だから、エアフレームテントの素材も、

もちろん、TC(ポリコットン)仕様のものを探しました。




Weathershield™ Airflow Classic polycotton 

…という素材です。




テントの正式名称は、

BREAN 4 CLASSIC AIR Pro AIR tent

BREAN 4 CLASSIC AIR Pro AIR tent

めんどくさいから、

エアフレームテントという一般名詞で

呼んでいますけど。




ところで、ランクルのルーフに設置している、

ルーフテント・コロンブスヴァリアント。

ルーフテントを展開したランクル70

その生地素材は、ポリコットンぽいけど、

実は合成繊維らしい。



ZIFER JAPANのホームページには

次のような紹介があります。


「Airtex(エアテックス)生地:

 高撥水・高吸湿、引裂き、カビに強い素材。
 優れた撥水効果を持っているので、
 濡れたまま収納しても、直ぐに乾きます。」

この素材の正体は、今、問い合わせています。



でも、たぶん、

合成繊維であると、思われます。



(∵高撥水・高吸湿、引裂き、

 カビに強い、撥水性が高い)




ただ、吸湿性が高いという点が、

ポリコットンっぽいのです。




今のところ、ランクルは

サイト内の火から遠いところに駐車して、

かつ、ルーフテントより下に

焚き火タープを張ることで、

焚き火の火の粉が届かないように、

気を付けています。




次に、今、注目されている

TC素材についてですが、

TCとは、テクニカル・コットンの略。

ポリコットンとほぼ同じ意味のようです。

ポリエステルとコットンを混ぜた素材で、

だいたいポリエステル65%~70%のものが

多く使用されているようです。



つまり、合成繊維とコットンの

混紡(こんぼう)です。



混紡とは、異なる二つ以上の素材の糸、

繊維をつむぐことなので、

TC、ポリコットンは

「混紡糸」で作られた繊維ということです。



ウリは、火に強いという、

ピュアコットンの性質を受け継ぎつつ、

耐水性などもそこそこある…らしい。



というわけで、だいたいのことが分かりました。



そこで現実的な問題です。



テントやタープの生地の材質が、

(難燃加工していない)

ポリエステルや、ナイロンの場合、

お隣サイトの焚き火から

飛んでくる火の粉でも

穴が開く可能性、十分にありますよね。



そういうシチュエーションでは、

「焚き火やめてくれ」とは言いにくいけど、

テントやタープにたっぷり水をかけておけば、

いくらかマシかもしれません。


もっとも、

ナイロンやポリエステル素材のウリとして

「撥水性」が高い(つまり濡れにくい)んだけど…。




先日の、森まき

(=森のまきばオートキャンプ場)での

新テント入魂式&薪ストインストールキャンプ。



焚き火するかどうか

慎重に考えたけど、目の前が通路、

横はランクルとウチのエアフレーム。



第二日ランチタイムの頃は、

まだサイトにすきまがあったので、

慎重に焚火スタート。


ランチの調理用焚火の準備

そして、夜になると、

周りの方々も次々に

焚き火を始めたので、

私も遠慮なく。



まずファイアスタンドで薪を燃やして、熾火をつくり、

奥のファイアグリルで熾火を使った焚火料理です。

第2日夜のツイン焚火

しかし、この「隣の焚火問題」、

区画サイトの場合は、

みなさん、どうしているんでしょう??




そういうわけで、

ハコの中で制御された

(コントロールされた??)

焚き火である、薪ストーブを、

もっと秋冬春キャンプで使いましょう!!

薪ストーブとともに過ごす夜



★まとめ


1.難燃性が高いということと、

 火に強いということは同義ではありません。

 燃えにくくても、溶けやすいということは、

 細く引き伸ばしたプラスチックである、

 合成繊維にとっては、当たり前の性質です。



2.煙突の火の粉は、煙突トップの形状によって、

 かなり抑えられます。

 Tトップ(T笠)は、

 風情のある形かもしれないけど、

 火の粉をブロックする機能は持っていません。

 
 
 薪ストーブは、

 火の粉をまき散らさない「焚火」!!





では今夜はこの辺で失礼します。





ご訪問、ありがとうございました!!








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この記事へのコメント
こんばんは

初心者の自分にも解るほどの解説。ありがとうございます(^_^)

燃えない→燃えにくい→溶ける
なるほど。新品mont-bellジャケットに穴が空いたのはこれだ(-""-;)

P型煙突は良くできてるんですね。
良く聞く「穴が!」って言うのは。
風向きや、テントとの距離。素材。等
運悪くかち合っての事なんですかね。

記事楽しく、勉強させて頂きました。
Posted by 干物 >゜)))彡干物 >゜)))彡 at 2017年11月28日 00:27
こんにちは。

詳細なご解説、参考になりました。

で、区画サイトの焚き火対策ですが・・・

確かに他人の火の粉の心配があるので、幕物はなるべく境界から離すとか、風下には配置しないとか、なるべく工夫はしていますが、限界はありますよね。

なので、ウチは区画が狭いところには行きません(爆)

ホームがカンパーニャと鹿沼出会いの森である理由のひとつが、区画の広さだったりします。(もちろん火の粉以外にもプライベート感が欲しい、という理由もありますが)

逆にフリーサイトだと混んできた場合に火の粉リスクが高まると思うので、そこらへんはどっこいどっこいかと ^^;;;
Posted by GRANADAGRANADA at 2017年11月28日 12:53
◆干物 >゜)))彡さん コメントありがとうございます。

私自身も、難燃性という言葉の持つ、
裏の意味には愕然としました。

難燃性ポリエステル使用って書いてあれば、
熱に強いと、普通は思いますよね!!

モンベルのジャケット、残念でしたね。
私もやりましたけど。

こちらの記事に書きました。
http://eco2house.naturum.ne.jp/e2921167.html

この記事には、ビアスポという
妻が言うところの
「オジサンブランド」の名品・スノーコートについても載っています。

これはトリクロスという名の、TC、ポリコットンの近縁種なんです。
火に強いので、「なんちゃって焚火パーカー」として使っています。

よかったら読んでみてください。
Posted by eco2houseeco2house at 2017年11月28日 21:59
◆GRANADAさん コメントありがとうございます!!

やっぱりGRANADAさんも気になっていましたか。
お隣からの「もらい火」…。

区画が広いところだと、10m×10mくらいでしょうか。

私は、昨シーズンまでは、がら空きの内山牧場や森まきで、
ポッツーンとキャンプするのが好き…というより、
それが前提だったんです。

ところが今年は異常に混んでいます。

ブームなのかなぁ…。
Posted by eco2houseeco2house at 2017年11月28日 22:07
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